佐久奈度(さくなど)神社は滋賀県大津市大石の地にある神社です。
瀬田川に沿った場所にあり、近くには弘法大師開基と伝わる立木観音などがあります。
少し寂しい感じのする場所でした。
車で行くと、建物の裏手に隠れている形になっているので、気づかずに越えてしまうかもしれません。
なお、駐車場は舗装されていませんが、河川敷に大きなスペースがあり、そこに停めることが可能です。
神社のHPによると、御祭神は……
瀬織津姫命(せおりつひめのみこと)
速秋津姫命(はやあきつひめのみこと)
気吹戸主命(いぶきどぬしのみこと)
速佐須良姫命(はやさすらひめのみこと)
という4柱の神様です。
瀬織津姫命はお祓いの祝詞の中に登場する神様です。
謎多き神様で、天照大神の「皇后」と記載されている文献があります。
一方、天照大神の荒御魂ともされていて、伊勢神宮内で祀られてもいます。
饒速日神や熊野権現との関係も指摘されています。
古事記や日本書記には登場しない神様で、大和朝廷以前からの土着神ではないかという説もあります。
持統天皇は天照大神を自分と結びつけるために女性神とした説があります。
そのときに皇后がいては都合が悪いため、瀬織津姫を闇に葬ったのではないかとも考えられます。
いずれにせよ、水に関係する神様ではあるようです。
そのため、龍神や弁財天と結びつけられることもあります。
瀬織津姫を祀る神社は各地にありますが、祓戸四神をまとめて祀る神社は珍しく、パワースポットと言えなくもありません。
由緒もHPから引用します。
佐久奈度神社は天智天皇御宇8年 勅願により中臣朝臣金連が当地において、祓を創し祓戸大神四柱を奉祀した。
当地は八張口、桜谷と呼ばれ、天下の祓所として 著名で、大七瀬の祓所のひとつである。
文徳実録に「仁寿元年六月甲寅、詔以近江国散久難度神列於明神」とあって、仁寿元年名神に列した。
三代実録には「貞観元年正月二十七日奉授近江国佐久奈度神 従五位上」と見えて、貞観元年に従五位上の神階を授けられ、延喜式神名帳では名神大社に列するなど当地方の名社であった。以来朝野の崇敬厚く後白河上皇は社領を加え寄進されたことが社記にみえ、豊臣家臣渡辺勘左衛門、膳所藩主本多康俊、石川忠総などからも社領が寄進されている。
又、「忠臣蔵」で有名な大石良雄の曽祖父良勝が武運長久を祈って奉納した絵馬 が残っている。大石家は当地の出であり、良勝は赤穂浅野家にはじめて仕えた人である。現境内地は昭和39年に下流の天ヶ瀬ダム建設に伴い旧境内地が水没地となり移転したものである。
明治9年村社、大正10年県社に加列。
由緒書きにもあるように、天智天皇の時代にまで遡る古い神社のようで、天下のお祓い場所として有名であったようです。
都の貴人たちが伊勢神宮を訪れる前に、この神社でお祓いをするのがならわしであったようです。
ただし、現在の境内地はダム建設のため移転した場所のようです。
なお、HPによると、大石という地名の語源のひとつに「おいせ」があるようです。
以下に写真など……
鳥居と石碑です。
少しだけ登ります。
すぐ近くを瀬田川(琵琶湖から流れでて、宇治川。淀川と名前の変わる川)が流れています。
このあたりでは、結構、流れが急でした。
境内地と本殿です。
あまり広くはありませんでした。
人もまばらで、静かな空間でした。
こういう場所が近所にあると、散歩などに最適ではないかと思いました。
↓佐久奈度神社HP
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